水平炉での太陽電池用ウェハの製造
- Solar wafer production in horizontal furnace -

現代のマイクロエレクトロニクスや太陽光発電はコーティングされたシリコンチップに「依存」しています。最も費用対効果の高い製造方法は、シリコンウェハとして知られている大型のユニットから単体のトランジスタ、CPUチップ、太陽電池を切り出すことです。そのためには、高純度のシリコンウェハを様々な物質で正確かつ再生可能な方法でコーティングする必要があります。関連する反応に対して、厳密に規定された条件を活かすために、このプロセスには特殊な水平加熱炉が使用されます。高性能で信頼性の高い最新のマイクロドライブシステムは、加熱炉内でのパイプの出し入れ、加熱炉ドアの開閉などの支援設備に最適です。


今日のほぼすべての電子装置は、トランジスタなどの様々なコンポーネントを組み込んだシリコンチップを基盤にしています。個々のチップの費用対効果を高めるためには、迅速にかつ大量に生産する必要があります。したがって、チップは、「ウェハ」と呼ばれる100~300mmのシリコンシート上で大量に製造され、切り離されます。ウェハの特殊な表面処理は、低圧下で化学蒸着(CVD)の最中にリンやホウ素の大気吸収を引き起こす可能性があります。オランダのVaassenにあるTempress Systems B.V.社は、高い柔軟性を備えた水平加熱炉を開発し、チップメーカーに提供しています。この加熱炉は、ウェハをベースとした高品質な太陽電池向けに大量生産するために使用されます。Stuttgart近郊のSchönaichにある小型モータおよびドライブシステムの専門メーカーFAULHABERによって開発された堅牢なモータは、個々の加熱炉パイプを挿入するのに使用されます。モータの役割は加熱炉のドアを自動的に閉めます。加熱炉内では反応性の高い化学物質が使われているため、この自動閉鎖機能は極めて重要な安全機能です。

特注ウェハの処理

エレクトロニクス業界での製造方法は他のどの分野よりも速く変化します。そのため、使用されるすべてのシステムは、広範囲にわたる様々な製造要件に対し、柔軟に適合できる能力が必要です。水平加熱炉はこの上ない完璧さでこのような業界の要求事項を実現させております。4つの反応炉チャンバは、互いの上に水平に配置され、そこに太陽電池生産用の156 x 156mmのウェハが投入されます。1本のパイプに約400~500枚のウェハが入っているため、1工程だけで、1時間当たり最大1500枚のウェハをコーティングすることができます。太陽電池の製造では、後に1枚のウェハの表面積当たり平均4Wのエネルギーを生産することができるようになります。

平均的な家屋の屋根に設置できるパネル数は約50枚であり、それぞれが約200Wを生産すると考えると、Temress製加熱炉のエネルギー生産実績は、年間30~35MWに匹敵します。高い生産性レベルにより、太陽電池の量産効率は非常に高くなりました。手順に応じて、加熱炉は通常の圧力下、あるいは真空状態で、380~1380℃の温度範囲になります。ウェハ・シートは高価なため、工程の信頼性が最も重要であり、すべてのコンポーネントには安全性の厳しい要求が求められます。Tempress Data Management Systemでは、精密なガス測定による温度管理から圧力制御までの広範なパラメータを設定することができます。加熱炉パイプを個別に出し入れする特殊な投入システムが炉には備えられています。小型モータはアクチュエータとして使われています。モータへの要求事項は、非常に小型でありながら、高トルク出力、精密な位置決め性能になります。また、信頼性が高いことも必須条件となります。結局のところ、単価が高い腐食性の化学物質を使用しているために、エラーが発生すると多くの費用が掛かります。この用途では遊星ギアヘッドの堅牢設計も決定的な要素でした。この会社に選ばれたその他の優位性は、エンコーダが一体となった小型設計や、力強さ、制御性が優れている点が評価されました。

小型モータ-堅牢かつ精密

FAULHABERのモータ製品群は様々な加熱炉に展開されています。たとえば、ローディングシステムにはDCマイクロモータが使われています。モータ直径に応じた遊星ギアヘッドは、減速と同時に駆動トルクを増加させます。設計に応じて(通常荷重ローダーまたは重荷重ローダー)、使用されるモータの直径は32mmあるいは38mm、遊星ギアは減速比が14;1あるいは3.71:1になります。どちらのバージョンでも、システム内のウェハを精密な位置決めができるよう、モータ1回転当たり256パルス出力されるエンコーダが内蔵されています。ギア機構もまた、出力軸の精度を向上させます。その他に、加熱炉のドア閉鎖は安全上最重要機能であり、さらに厳しい要求がありました。ガスが加熱炉パイプから漏れ出さないようにするために、信頼性の高いロックシステムが担保されなければなりませんでした。これが、エンコーダと遊星ギアヘッドを備えたモータだけではなく、一部のモデルにも電磁ブレーキが搭載されている理由です。電磁ブレーキは、停電時にドアを安全に閉鎖するようになっています。このブレーキユニットは32mmモータに組み込まれ、モータを含めたユニット全体の寸法は、わずか72.5mmです。最新の小型モータは、小さなスペースに収まり、より大きな発生トルクを提供しています。また、付属するエンコーダ、ギアヘッド、ブレーキも共に小型化され使いやすくなっております。これらクラス最高の設計は、高いレベルのプロセスで信頼性を保証します。