ドローンなどの無人偵察機にも軽量のFAULHABR社製モータを採用

鮮明でブレのない写真やフィルムの撮影では、三脚が不可欠です。ゆっくり撮影しても、写真がぼやけることがあります。車両や航空機に搭載されたカメラの場合は、歪みがもっと激しくなります。小型航空機に搭載する撮影装置は、重量が軽くなければなりませんが、重量が軽いと振動を吸収できないため、装置を安定させる機材が必要になります。最適な機材として、ジンバルに搭載するジャイロスタビライザが考えられますが、ここでも重量が問題になります。従来のジャイロは重すぎて飛行機やドローンが離陸できません。ジャイロで簡単にまた確実に機器を安定させるソリューションが、適切な変速機が組み込まれたマイクロモータにより実現しました。


e今やドローンという名称が一般的になりましたが、無人航空機(unmanned aerial vehicle、UAV)は主に、戦場などの危険な偵察任務に使用されています。ドローン1台の価格は、2百万ユーロから5百万ユーロですが、小型で軽量なドローンや超軽量ドローンの場合は、数万ユーロから10万ユーロ以下で入手できます。地図製作や考古学の発掘調査、産業開発などの分野で、この低価格帯のドローンの使用が増えていますが、ドローンに積載できる量は値段に比例します。
飛行中にも鮮明な写真を撮影するには、カメラはもとより安定したカメラの雲台が重要になりますが、一般的なジャイロスタビライザは小型飛行機には重すぎます。米国のOregon州のHood Riverに拠点を置くHood Technology Corporation社は、新しい軽量のジャイロスタビライザを開発しました。さらにドローンに使用できるジャイロによる安定化技術を、北米にあるFAULTHABER社のグループ企業で起動装置の専門メーカのMicroMO社と協同開発しています。

軽量化

ドローン、小型航空機や小型ヘリコプターの平均的な重量はわずか15kgですが、長時間撮影するためには、飛行する時間に応じた燃料が必要です。ペイロード(積載量)の問題として、燃料の量が増えれば他の積載物の重量を減らさなければなりません。そのため、重いジャイロスタビライザは使用できません。最新のCCDカメラは、小型軽量で消費電力が少なく超小型航空機向きのカメラです。また最近では大幅に軽量化された雲台も開発され、軽さと高速の組み合わせにより、従来の重いジャイロコンパスとほぼ同等の振動を吸収できます。最初に開発されたわずか500gの雲台は、最大200gの積載量に対応します。ジンバルに搭載するアタッチメントの内部に取り付けられたカメラガイドによりパン撮影もできます。この動きは安定化機能に影響しません。送電やデータ転送には滑らかに回転する集電リングが使用され、ジャイロに必要な均一な動作と精密なカメラガイドの動作は、超小型ステッピングモータにより制御されます。

1ステップごとに変化するエンジンの回転数

重心を安定させる駆動装置は、マイクロモータ以外にありませんでした。アブソリュート エンコーダ付き小型ステッピングモータは、パルス信号が送信されると、1ステップ回転します。この動作により、位置情報の確実なフィードバックが収集できます。しかも、モータのステップ出力の摩擦はごくわずかで、モータはパルス信号が間断なく送信されても効率的に連続回転することができます。この小さな巨人は毎秒10,000パルス(ステップ)で連続動作しますが、組み込まれた減速比1:200のトランスミッションにより、回転数が減速されバックラッシュが発生しません。これにより出力軸では、ジッタなしで90°/secの角速度を得ることができます。また、振動錘とジンバルに搭載されたアタッチメントにより、一定のエンジン速度が保たれ積載物が安定します。

捕獲による着陸 – ドローンの1枚の翼に通したロープを使用、滑走路が不要
カタパルトを使用した離陸- 離陸時のドローンと雲台に負荷される35Gの重力加速度