マイクロモータによる人工筋肉
- Muscular micromotors -

自由に動くアームは、ロボット用としてだけでなく、3次元空間内での操作ツールとして既に実用化されたソリューションです。しかし、今までほとんどのソリューションが、回転軸の駆動力とアームの安定性との間に生じる、負の相互作用の抑制に悩まされてきました。可動部を軽量化することで、アームの慣性力が低減します。ジブアームの軽量化で、よりダイナミックな作業が可能となる一方で、安定性はそのまま維持されます。


多くの人が、産業用ロボットアームを見たことがあると思います。重いツールを操作するための丈夫な装置で、それ自体かなりの重量があります。実際、重すぎて、その用途が限られてしまうことも少なくありません。独Cologneにあるigusのエンジニアたちは、ジブの周りを小さな荷物が旋回または回転するような、多軸継手の開発を目指していました。これには、簡単なアップグレードで軸を追加できる、高い柔軟性と軽量化が必要でした。
現在では、これらの条件は、ケーブルで制御するプラスチック製の多軸継手という新たなコンセプトへと姿を変えています。ケーブルそのものはアームの「肩関節」から出ており、そこには、コンパクトで高性能なブラシレスDCサーボモータが使用されています。これにより、アームの慣性を抑制し、ダイナミックな動きが可能になり、駆動ブロックをコンパクトに設計することができます。

生体工学的アプローチ

回転部を改めて開発せずに済むよう、技術チームは、高度な人の肘関節の動きに注目しました。これにより、回転と旋回の2つの自由度が1つの継手に組み込まれ、精度の高い可動部を実現できました。また、このトライボプラスチック製の継手は、腐食せず電気も通さないため、メンテナンスフリーが実現されています。継手が取り付けられているアームの「骨」も、軽量構造となっています。アルミニウム・炭素繊維・ガラス繊維強化プラスチックは、剛性が高く、防振に優れています。ヒトの腕と同様、この種のロボットアームの最も弱い部分は、骨(アームチューブ)や筋肉(駆動モータ)ではなく、力を伝達する「腱」です。したがって、大きな張力のかかる「腱」(つまり制御ケーブル)は、高度に結晶化したUHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)でできた、耐摩耗性と引張抵抗力の高い繊維で作られています。3000~4000 N/mm²の引張強さとは、長さが400kmを超えた場合の重量が、自身の質量で切れることを意味します。このデザインでは、荷重と装置の質量比が1:1となっています。また、構造を最適化することで、その比率はさらに小さくできます。従来のロボットアームと同様に、軽量構造が重要なカメラやセンサやツール用の専用付属品などの新しい機能を継手に追加できます。将来的には、人工装具としての利用も期待されます。ツール、可動部、制御モジュール、および実際の駆動が個別に分かれているため、モバイル用途に最適です。アームを重くしている各コンポーネントを可動部分から「取り外した」ことで、構造全体の大幅な軽量化を実現しています。各継手に磁気式位置・角度センサを組み込み、精度を向上させています。極めてダイナミックな駆動と組み合わせることで、精密制御可能なロボットモジュールを構築できます。

ダイナミック、パワフルそしてコンパクト

限られたスペース内でできるだけ多くのケーブルを制御するには、コンパクトなドライブソリューションが必要です。高度なダイナミクス、有効電力収率、さらに精密な制御が求められている場合、FAULHABER社が提供しているような電子整流サーボモータが最適です。小型のコンパクトドライブは、移動質量が小さく、体積あたりのパフォーマンスが非常に高いため、容積比に優れており、動的なシステムには理想的です。耐熱変形性に優れているため、常に一定の負荷がかかるのではなく、短期間に膨大な高負荷がかかる場合でも対応できます。これは、高速旋回動作が必要な場合に特に有利です。動作電圧DC24Vは、バッテリーを電源とするシステムに最適で、モバイル用途には欠かせない条件です。直径32mmの場合、4象限モードで、効率80%の高出力を持続できます。97mNmトルクの4極モータは、アーム作動に必要な値に達するまで、遊星ギアヘッド(適合直径のもの)を調節します。旋回運動の用途に応じて、遊星ギアヘッドは、減速比1:4~1600 、または6~20Nmの連続トルクが可能で、最高効率は96%です。ステンレススチール製の筐体は、プラスチック製の継手とケーブルの制御装置と同様、耐候性があります。
ブラシレスドライブにはロータベアリング以外の摩耗部品がないため、数万時間を超える耐用性が実証されています。 また、精密ギアヘッドも、頻繁なメンテナンスを必要としません。モータの使用周囲温度は-40℃~+100℃で、ギアヘッドの使用周囲温度は-25℃~+90℃です。つまり、北極から熱帯地域まで、さまざまな環境条件下で使用可能で、幅広い産業の稼働条件に対応できます。最新サーボモータは、組み立て工程で移動が必要となる、さまざまな用途に最適なツールです。高精度、長寿命、さらに制御システムへの統合が容易なサーボモータは、モバイル用途にも、またコンパクトエンジニアリングにも使用可能です。