検知、確保、解除
- Detect, secure, defuse -

爆弾、IED、偽装爆弾、その他、過激派組織の倉庫にある危険な武器。これらを迅速に見つけ出し解除することは、当然ながら専門家に任せるべき仕事です。不必要に専門家を呼び出さずに済み、発見された脅威の安全な処理を担保するために不可欠な手順、それが事前偵察です。その際、専用の遠隔操作デバイスを利用することで、そのような危険な活動に携わる人間へのリスクを大幅に低減できます。ここでは、爆弾の近くでの手動による危険な作業を、高精度マイクロモータが行います。


英イギリスのDorsetに本社を置くAB Precision(Poole)社は、1960年代半ばから、英国国防省の任務を請け負っています。現在、爆発物検知と解除の危険度が高まっていることに対応するべく、同社の専門スタッフは、最先端のMROV(小型の遠隔操作車両)「Guardian」を開発しました。このモジュラー型の小型車両は、必要に応じて装置を追加できるよう設計されています。また、汎用性の高いシステムであるためには、どんな地形にも対処できなければなりません。

求められるコンパクト設計

コンパクトなデザインも重要です。それにより列車や地下鉄の車両内、航空機の機内など、狭い通路での操作が可能となります。強力な四輪駆動トランスミッションなど、できるだけ多彩な機能をスリムなデザインに組み込むため、ABP社のセキュリティチームは、マイクロドライブ専門のFAULHABER社と提携しました。

最大リーチ2.10mで広範囲をカバー(画像提供:AB Precision社)

コンパクトなデザインも重要です。それにより列車や地下鉄の車両内、航空機の機内など、狭い通路での操作が可能となります。強力な四輪駆動トランスミッションなど、できるだけ多彩な機能をスリムなデザインに組み込むため、ABP社のセキュリティチームは、マイクロドライブ専門のFAULHABER社と提携しました。Guardianの基本モジュールでは、15種類の小型モータが制御コマンドを正確に実行します。キャリングケース内の制御ステーションから、すべての操作を管理します。カメラで撮影された画像が表示される17インチの液晶モニタ、さらに10.5インチのタッチパネルとMROVの3画像を使って、装置および追加で搭載されているモジュールを直観的に制御できます。「操作指示」は、運転とアーム操作用の2本のジョイスティックにまとめられています。 多くの場合、偵察は狭い空間で行うため、コンパクトなデザインが不可欠です。本装置の寸法は、417mm(移動時)、最大長1280mm(延長時)、高さ504mmで、狭い通路でも容易に操作できるように設計されています。一方、できるだけ広い範囲を偵察できることが必要です。そのために、伸縮アームで、パンチルトカメラのヘッドを2.10mまで延長できるようになっています。 同時に、車両の下を調べられるように、ヘッドを下げることも可能です。低重心の車体と頑丈なキャタピラ軌道により、装置が安定するため、シャープでブレのない画像を撮影でき、カンチレバーを使った精密な操作が可能となります。装置を使用する地形に応じて、車体に車輪を取り付けることもできます。これにより、固い地表面での走行速度が増し、移動性が向上します。

モジュラー設計による高い柔軟性

車両の組み立ては、手軽に持ち運びができるモジュールから、安全な距離を保って素早く行うことができます。これにより運搬が容易になり、個々の状況に応じて特定モジュールを選択して、最適のツールを構築できます。カラー画像用の4つの内蔵カメラとは別に、各種ハードウェア・デバイス(鍵開け器具など)、X線ユニット、ウォータージェット噴射装置、その他多数のモジュールが利用可能です。追加の機器は、トレーラーを連結して運搬できます。

モジュラー型ドライブによるカスタムソリューション

このシステムで使用されるドライブは、その応用範囲と同様に多種多様です。そのすべてにおいて、絶対的な信頼性、コンパクトなデザイン、高性能といった総合的な要件を満たす必要があります。これに合わせて、高精度の操作性やバッテリーの寿命をより長持ちさせるためのバッテリー効率の高さも要求されます。要するに、GuardianとFAULHABER社のドライブモータの製品理念は、ほぼ同じということです。両製品とも、可能な限り広い応用範囲をカバーするために、モジュール型の製品に依存しています。15種類のドライブが搭載されている点においても、類似しています。求められている作業と性能に応じて、各モータとギアヘッドが選ばれます。たとえば、4つの各ドライブモジュールには、直径が38mmのモータと併用可能な遊星ギアが付いています。モータシャフトからは200W以上、約150mNmが出力され、ギアードモータとしての出力1馬力は、車体や追加機器が、変化のある地形の斜面を安定して走行するのに十分なパワーです。 また、構造が同じで減速比が異なる2つモータが、伸縮アームの上下移動を行っています。さまざまなギア比が設定可能で、それにより、両方の操作に理想的な出力トルクと速度を選択できます。出力が約80Wので やや小さめの32mmモータが、伸縮アームの伸縮を行います。またヘッドを軽くするために、軽量タイプの直径26mmで44W出力するモータが、「パン・チルト」機能を実行します。一方、カメラや追加装置は、直径23mmタイプが約20Wを出力し同一のドライブで作動します。必要な機能に応じて、アーム操作は直径23mmタイプと直径26mmタイプのドライブで行います。 すべてのモータは頑強なDC電源ブラシ付の設計になっているため、かなり低い電圧からでも駆動が可能です。また、この用途には、パルス幅変調を使った、比較的シンプルかつ堅牢な駆動制御システムが理想的です。