マイクロステッパーモータが画像をはっきりと捉える

  • - Micro-stepper motors bring pictures into focus -

マイクロステッパーモータが画像をはっきりと捉える

医療と産業の分野における精度の高い手術や小型化の傾向はここ数年衰えを見せません。内視鏡などを使って皮膚面を小さく切開するだけで行う鍵穴手術、歯科技術、マイクロ技術はその最たる例です。残念ながら、裸眼で小型構造を識別するには相当な努力を要します。拡大鏡は視野方向が一方向のみなので、問題を引き起こすことが多々あります。扱いづらい固定実体顕微鏡は、特に医療分野において等しく実用的ではありませんが、ヘッドセットとして着用する新しいタイプの光学装置が微細構造を対象とした作業に革新的な変化をもたらしています。小型ステッパーモータがそれぞれの目に合わせて倍率とピントの調節を行います。驚くほどクリアな3Dビューが、毛細血管の手術や、顕微鏡でしか判別できない微細構造の検査・再建を目に負荷を与えずに行うことを可能にします。

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拡大鏡と顕微鏡を用いた作業は動作の自由度を大幅に制限します。拡大鏡の場合は対象との距離が固定されてしまいますし、顕微鏡は通常扱いづらくて実用的ではありません。また、視野が非常に限られてしまうため、特に医療分野において悪影響を及ぼします。つまるところ、自然には「標準」寸法がほぼ存在しないことが事実として広く知られており、人の身体も例外ではありません。この分野に携わるオーストリアのハイテク企業のLife Optics®社は、最新の顕微鏡用ヘッドセットという待ち望まれていた解決策を見つけました。この最先端のソリューションは動作の自由度を無制限に解放します。最新のカムコーダーと同様に、この装置にはオートフォーカス機能が搭載されています。操作者は指定された距離を保つ必要がありません。これが拡大鏡と比べた場合の主なメリットです。さらに、2つの独立したレンズ装置で3Dの視野を確保します。
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Varioscope® M5
  • 実用面

ヘッドマウント操作顕微鏡を調整する場合、無限可変ズーム機能、オートフォーカス、視差制御は複雑な構造を余儀なくされます。信頼性の高い軽量小型ソリューションを実現するために、Life Optics®社は、マイクロステッパーモータを専門とするFAULHABERのグループ会社であるFAULHABER PRECIstepとタッグを組みました。その結果、最小限のスペースに収められた高精度技術が実現しました。Varioscope AF3として提供される基本バージョンの場合、操作者は300~600 mmの作業範囲内で自由に動くことができます。また、足操作式ズーム機能により、3.6~7.2の範囲で拡大率を自由に切り替えることが可能です。視野範囲は30~144 mmであり、瞳孔間距離もそれぞれの操作者に合わせて個別に調整できます。Varioscope® M5は、拡張可能なモジュール式光学装置を提供します。可変式接眼レンズで拡大表示範囲を広げて、内蔵照明で陰影の問題に対処します。各人の目のデータに合わせて調節できるようになったことで、格段に使い勝手が向上しています。オプションのビデオカメラを使うと、操作者が行う手術を正確に記録できるなど、Life Optics®社は、多岐にわたる要件に合わせて拡張できるソリューションを考案しました。また、創意工夫に富む設計により、作業場間の装置の移動が難なく行えます。

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Varioscope® AF3
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最小限のスペースで高精度を実現

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  • 構造の心臓部

高度に複雑ながらも携帯性に優れたこの装置は、最新のステッパーモータの恩恵を大いに受けています。DCモータとは異なり、ステッパーモータは独自の設計に依存するステップ角度でパルスごとに動くため、デジタルパルス出力数は定義された回転数に常時対応しており、リニア位置センサや角度位置センサを追加する必要がありません。ドライブの構造は小型化・軽量化が進んで制御しやすくなっています。Varioscope®は、片目につき2つのモータが必要です。フォーカス設定に関しては直径10 mmのAM 1020が、ズーム機能に関しては直径8 mmのAM 0820がそれぞれ対応しています。ヘッドのすべての動作を補正しなくてはならないため、程度の差こそあれ、フォーカスドライブは連続的に動作します。このサイズの視覚装置は精密機器であり、位置の正確さに特に厳しい要求を課しています。構造の「遊び部分」による不正確さの問題は、FAULHABER PRECIstepがマイクロ歯のついたスピンドルを使用することで解決しました。ピッチを0.2 mmにして、内蔵モータと連動させることで、10マイクロメートルの分解能を達成します。完全にバックラッシュもなければ、高分解能時の揺れもない状態でフォーカスとズームの両方を設定するため、スピンドルシャフトにも精密時計に対してのみ通常行われる追加の精密研磨加工を施しています。なお、特殊な潤滑剤で摩擦レベルを大幅に軽減するため、起動時の破断トルクも少なくなります。ディスクばねで精密ボールベアリングに予圧を事前にかけることで、1 Nという実際に発生することのない最大トルク値時にゼロバックラッシュの動作を容易にします。

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  • 小型で高性能

ステッパーモータは、非常に動的なものも含め、さまざまな位置合わせ作業に適しています。厳選した材料により、この小型ユニットは、オーバーシュートなしにワンステップで最大1200 rpmまで加速できます。優れた耐熱性を誇る高品質なネオジム磁石を使用することが、性能を発揮するカギとなります。実際に、ハウジング内温度70℃で、モータは問題を発生させることなく、7日間中断なしに連続して動作できます。この場合、コイルの温度が120℃に、磁石の温度が最大100℃に達することが実際にありますが、それによって耐用年数や効率性が制限されることはありません。温度と経年劣化に対する安定度がとりわけ高い特殊な潤滑剤がこれらの特性を支えています。こうした標準的なモータは、温度上昇値が4 K(ケルビン)というその実力が認められて、宇宙分野にまでその用途を広げています。さらにモータは、長期間の「未使用状態」から使用状態に転換した場合でも最高基準の精密さで動作可能です(7年間未使用状態後の性能については実証済み)。マイクロモータのもう1つの優位性は、動作電圧3 Vで使用できる点です。従来のDCモータはそれとは対照的に、最低でも5 Vの制御電圧がセンサ技術に必要ですが、「小型モータ」は最大動作電圧12 Vまで対応可能です。微細構造を特定して増幅する能力は今まで以上に重要なものになっています。マイクロステッパーモータを使った最新のマイクロメカニカル技術は、究極の「動作の自由」を実現します。Lifeoptics社が開発したこの小型ソリューションのおかげで、目に負担をかけずに「動いている間」も明瞭な3Dの視野を確保できます。Lifeoptics社とFAULHABERのコラボレーションは、科学のフロンティアを押し広げながら、品質の確保にも大きく寄与しています。