ミニチュアラボ

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ミニチュアラボ


研究者たちは、いわゆる生体を用いることで、健康な組織を傷つけずに癌細胞ともうすぐ闘えるようになると期待しています。この新しい活性成分が異常細胞固有の分子特性を識別し、異常細胞を組織的に破壊するのを助けます。多くの薬剤候補を検査して、各種の癌に対してカスタマイズされた生体を明らかにする必要があります。スウェーデンの企業Gyros社は、この研究を容易にする分析装置を開発しました。「Gyrolab xPlore™」は複数の試料の検査を自動的かつ迅速に並列実行するため、時間短縮・労力軽減・材料節約を実現します。FAULHABERのブラシレスDCモータが検査の処理に必要な速度と精度を提供します。

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オフィスで「Gyrolab xPlore」を見たら、大型レーザープリンタと思うかもしれませんが、カバーを持ち上げると、ミニチュアのラボが現れます。装置の中心にあるコンパクトディスク(CD)サイズのプラスチックディスクで試料の分析を行います。このCDには、直径1ミリ以下のチャネルから成る装置が搭載されており、毛細血管力と遠心力で試料がチャネル装置を経由して搬送され、その過程で分析します。
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  • 癌と闘う武器としての生物学的製剤

「当社のお客様の大多数が製薬会社です」と、Gyros社マーケティング責任者マリア・ヨルトマーク氏(Maria Hjortsmark)は説明しています。これらの企業は、同装置を利用して自分たちの生体を検査しています。生体はあまりにも大きく複雑なので合成構築できない分子であるため、ラボの養液で培養された生きたままの細胞(通常は遺伝子組換え細胞)で生成されます。ほとんどの生体はタンパク質です。癌研究者たちは、特にあるタイプのタンパク質、すなわち抗体に期待をかけてきました。抗体は免疫系の特殊な細胞で生成されますが、この特殊な細胞は、感染時に体内に侵入する細菌またはウイルス由来などの異種タンパク質を認識し結合します。したがって、食細胞が病原体を除去するか、分解できるようマークを付けることができます。同じ原理を癌細胞との闘いにも適用できます。
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  • CD上での検出

「Gyrolab xPlore」は、細胞の培養液や実験動物・患者の血液などを用いたどの開発段階でも新薬の分析に利用できます。1つのCDで、最大112のデータ点を並列生成できます。CDの微細構造のおかげで、「Gyrolab xPlore」は非常に少ない試料で済むため、試薬の消費を最小限に抑えます。試料液をマイクロタイタープレートのウェル(くぼみ)にピペットで注入した後、マイクロタイタープレートを装置内に配置します。装置内部のロボットアームが試料をCD上に搬送し、毛細血管力で試料を適切なチャネルに導入します。CDのタイプに応じて20~200ナノリットルの範囲の微量の試料液で検査を実施できます。
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3,000以上の位置設定点を有する低トルクリップルの高精度制御電子部品が、直接各チャネル入口で、CD上に試料を正確に配置することを可能にします。
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1つのCDで、最大112のデータ点を並列生成できます。

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  • 鍵と鍵穴モデルにしたがった結合

抗体と対象となるタンパク質の間にある特殊な結合特性、いわゆる抗原を用いて活性成分を検出します。鍵と鍵穴モデルと同様に、抗原と抗体は非常に特殊な形で結合します。何百万もの他の分子の中から互いを常に認識します。たとえば、試料液内の抗体濃度を検出するには、CDのチャネル壁の短いセクションに対を成す抗原を密接に結合させます。抗体がチャネル内の抗原を通過する際、抗原に抽出されチャネル内に保持されます。同じ原理にしたがって蛍光染料でマークを付けられたもう1つの抗体が最初の抗体と結合します。染料はその後レーザーで励起されます。照射光を検出して、試料内のタンパク質、この場合抗体の濃度を検出します。

 

直接CD上で試料液の正確な容量を測定します。正確な容量を測定するためにチャネルが拡張し、必要量に等しい大きさのチャンバーを形成します。下部端部にある疎水性バリアで、必要量以上の液がチャネル内に流入するのを防ぎます。次に、CDが回転を開始します。オーバーフローチャネルを介して、遠心力でチャンバー上部にある試料液の回転方向を転換します。この後、回転速度が上昇し、試料が疎水性バリアを越えて次のセクションに移動します。
同じ原理を用いて洗浄サイクルを実施し、実験にさらなる試薬を添加します。検査プロセス全体が完全自動化されており、個々の手順は装置内蔵のソフトウェアで制御されています。「自動化は作業量を軽減するだけでなく、エラーリスクも最小限に抑えます」と、ヨルトマーク氏は説明しています。

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  • 高スループットのための速度

Gyros社は2015年に「Gyrolab xPlore」を発売しました。発売当時、多くの企業が、この新装置の大型姉妹品であり、1回の実行で5つのCDを分析できる「Gyrolab™ xPワークステーション」ですでに作業を行っていました。しかし、処理能力率の比較的低い企業や大手製薬会社の少人数部門は、この姉妹品がいささか大きすぎると感じることが多々ありました。Gyros社は「Gyrolab xPlore」を発売したことで、こうしたお客様に適した選択肢を提供できるようになりました。
この新製品を設計する際、開発者は分析速度の点で前身製品と遜色ないよう確実を期しました。そのため、ロボットアームは迅速かつ安全に試料を搬送できなくてはなりません。残念ながら、「Gyrolab xP」のロボットアームを動かす超高速ステッパーモータはもう製造されていませんでした。Gyrosがこの代わりになるものを探した結果、Compotech Provider AB社にたどり着きました。「モータはトルクを犠牲にすることなく非常に高速でなければなりません。このため、ステッパーモータを強力なサーボモータに置き換える決断をしました」と、Compotech社のペレ・アルムグレン氏(Pelle Almgren)は説明しています。最終的に選ばれたモデルは、4極技術を搭載したFAULHABERのBX4シリーズの高トルクブラシレスDCモータでした。このモータはインクリメンタルエンコーダーを搭載しています。しかも小型設計のため、大きさも前身モデルで使われていたステッパーモータよりもわずかに大きい程度です。もう1つの優位点は優れた価格性能比です。
Gyrolab xPloreはBX4シリーズのブラシレスDCモータを3つ搭載しています。そのうちの2つはリニアテーブルに実装されています。この2つのモータがロボットアームを平行移動させて試料を搬送し、分析時のレーザーの動作を制御します。残り1つのモータは、ピペッティングヘッドを昇降させる遊星ギヤボックスを装備しています。3,000以上の位置設定点を有する低トルクリップルの高精度制御電子部品が、直接各チャネル入口で、CD上に試料を正確に配置することを可能にします。BX4モータを搭載した「Gyrolab xPlore」は速度条件も満たしています。「112のデータ点を1時間以内に作成します」と、ヨルトマークは報告しています。