ジッパーマスト – 巻き尺とジッパーの出会い

  • - Zippermast – Tape measure meets zip -

ジッパーマスト

ボビーカー型の遠隔操作されたキャタピラ車両が頭の高さの壁のすぐ前で停止します。すると、先端に小型カメラが搭載されたマストが車体の内部から伸びてきます。その直後、何にも妨げられず、壁の向こうの様子をとらえます。独バイエルンのprogenoXは無人探索用の車両を提供しています。目玉となるのは、極めてコンパクトな「Zippermast」です。この製品はジッパー原理による3本の連動するスチールテープから成っています。FAULHABER製のモータは信頼性の高い格納と拡張性を備えたユニークなデザインを提供しています。

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「最初にZippermastを見た人は誰でもその伸長する高さに驚きます」と、progenoXのゼネラルマネージャのFrank Woodcockは言います。マストが隠れているハウジングが非常に小さいためです。最小モデルのZM4は高さがちょうど15cm、標準モデルのZM8は高さが25cmです。どのくらいマストが伸びるかは、モデル番号から分かります。モデル番号はフィート単位の高さに対応しています。ZM8の場合は、重さが7kgなので持ち運びが容易です。マストは約2.5mまで伸びます。ZM40のマストは12m以上の高さまで伸びます。
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  • 巻き尺からの着想

革新的な伸縮機構技術の開発のきっかけは、アメリカ軍の要請でした。彼らは、無人車両に載せて使用できる非常にコンパクトで頑丈なシステムを探していました。Zippermastのデザインについて、開発者のGeorge Woodruffは、金属製の巻き尺から着想を得ました。弯曲することでテープの張力が保たれ、そのため、よれることなく伸ばすことができるのです。Woodruffは3本のスチールテープを使い、ジッパー原理に従って伸ばすときにそれを連結しました。この方法で、柔軟なテープが安定したマストになります。
ばね用焼き戻しステンレススチールで作られた3本のテープはコイル状に巻き付けられ互いに120°の角度を保つように配置されています。この三角形の中間にあるガイド軸が設定された斜めのスロット内のテープをしっかりつかんでいます。テープはガイド軸の回転により上に向かって滑らかに巻き取られます。テープのギザギザのある外側の辺は互いにかみ合っています。Zippermastは範囲内であればどのような高さにも伸ばすことができます。この高さを保持するために他のロック機構は必要ありません。テープの重量と回転によってのみ動かすことができるガイド軸のねじ山にかかる荷重が、ねじ上のナットのような関係と似ています。
「私が初めてZippermastを見たとき、その設計原理にたちまち興奮させられました」と、Frank Woodcockは回想しています。彼は2012年に米国で技術を取得すると、それをドイツに持ち込みました。progenoX出身の自分のチームで伸縮マストを練り直し、量産準備が整いました。顧客は主に、消防、救急サービス、防災、民間防衛、警察などのいわゆる青色灯組織(青色灯を使用する救急出動組織)です。これらの組織ではマストをほとんどモニタリングと監視を目的に展開しており、もともとマストはその対象領域のために設計されました。しかし、Zippermastがパイプやシャフトの検査などに有用であることも証明されています。たとえば、換気システムのクラックや異物の検査のために原子力発電所で使用されています。

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BOS、Homeland Security、セキュリティ関係の産業市場向けの革新的かつインテリジェントなマストシステム

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  • 安定していて省スペース

コイル状に巻かれたテープのおかげで、Zippermastは非常に小さなハウジングに収まります。このデザインの他の利点は、互いに入れ子になったコンポーネントで構成されている伸縮マストとは違い、直径はその全長を通してどの位置でも一定です。そのため、マスト内部に十分なスペースが残り、ケーブルを、ガイド軸を通して頭部まで外部の影響を受けずに配線することができます。さらに、そのデザイン原理によってZippermastは極めて安定しています。この頑丈さはスチールテープの熱処理によりさらに高まります。そのため、コイル状に巻かれたテープはコイルの状態で加熱され、その後再び冷却されます。スチールの結晶構造はこの配置に自身を適合させ、その状態を取り入れようとします。したがって巻き上げることによって張力が生じます。このことがさらにマストを安定させます。その安定性のおかげで、Zippermastは水平方向にも伸縮することができます。
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コンパクトなデザイン

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  • 外海や宇宙空間に最適

progenoXはZuppermastを毎日使用できるように多くの処理を施しています。摩耗を最小限に抑えるために、スチールテープは特殊な表面被覆材でコーティングされています。ガイド軸は加熱工程で硬化処理され、電子機器はモールディングされています。さらに、もともと使用していたスピンドルモータを置き替えました。「最適な駆動部を選ぶときに、FAULHABERから素晴らしい技術的な支援を受けました」と、Frank Woodcockは強調しています。
Zippermastは最も過酷な条件の下で使われることが多いため、特に丈夫で長持ちするモータが必要です。さらに、そのモータが小型かつ極めて高い性能を発揮することが重要でした。「ガイドスピンドルを駆動するモータのために、3つのコイル状のスチールテープのうちの2つの間にスペースを見つけなければなりません。結果として、見つけられたスペースはわずか32mmでした。」と、FAULHABERでこのプロジェクトを監督したAndreas Eilerは回想します。それにもかかわらず、DCマイクロモータは、マストを素早く伸縮させるために高い出力トルクを伝えなければなりませんでした。そこで彼らはFAULHABER製のDCマイクロモータを使用することを共同で決定しました。このモータは定格トルク120mNmをその強力なレアアース マグネットで出力します。Zippermastも非常に強力な駆動装置を求めています。ここでは、FAULHABERの遊星ギアヘッドが選ばれました。「それはスチール部品のみで作られています」と、Andreas Eilerは強調しています。
これにより、モータは最悪の条件下でも確実に動作することができるようになり、さらに高耐性プラスチック製の非常に頑丈ななハウジングを持っています。それによって、DCマイクロモータは保護クラスIP68の要件を満たし、塵埃や水の両方の侵入から保護され、かつ化学物質、紫外線、赤外線放射への耐性も獲得しています。また、FAULHABERのDCマイクロモータは、海上のブイなどに組み込むことができる耐海水仕様のZippermastも駆動します。Woodcockは宇宙での応用も考えられると確信しており、既に2つのプロジェクトへの参加を申請しました。「Zippermastを小型や中型の衛星のアンテナあるいは光学装置などの伸縮用のブームとして使用することができます。その他にも、宇宙機関のNASAやCSAにロボット車両を供給するODGARGO社と連携してこの応用に取り組んでいます。既に火星探査計画に使われる可能性のあるARGOロボットの1台にZippermastを組み込んだところです。私は、会社がこのような宇宙プロジェクトの1つに関わる良い機会を得たと思っています。」